みんなの教育資金計画

教育資金ピーク期を見据えた資産活用戦略:積立NISAと課税口座全体での税効率を最大化する売却順序

Tags: 教育資金, 積立NISA, 課税口座, 出口戦略, 税効率

教育資金の必要時期に備える:税効率を考慮した資産活用戦略

お子様の成長と共に、教育資金の必要額は段階的に増加し、特に大学進学等のピーク期には大きな資金が必要となります。計画的に積立NISAや課税口座で資産形成を進めてこられた多くのご家庭にとって、次に重要な課題は、積み上がった資産をいかに効率的かつ税負担を抑えて引き出すかという点です。ここでは、積立NISA口座と課税口座の双方を活用している場合を想定し、教育資金の必要額を確保するための税効率を最大化する売却順序と考え方について掘り下げて検討します。

積立NISA口座と課税口座、それぞれの特性

資産活用戦略を検討する上で、まず積立NISA口座と課税口座の税制上の特性を理解しておくことが重要です。

税効率を最大化するための売却戦略の基本原則

教育資金の必要時期が到来し、資産の売却が必要になった場合、税負担を最小限に抑えるためには、原則として以下の順序を検討することが考えられます。

  1. 積立NISA口座(非課税期間内)の資産
  2. 積立NISA口座(非課税期間終了後、課税口座に移管された資産)
  3. 課税口座の資産

この順序で売却を検討する理由は、以下の通りです。

具体的な売却順序の検討例

仮に、教育資金として500万円が必要になったとします。資産状況は以下の通りです。

この場合、税効率を重視するなら、まず積立NISA口座(非課税期間内)から必要な額を引き出すことを検討します。

  1. 積立NISA口座(非課税期間内)から 400万円を売却: 運用益100万円を含め、全額非課税で引き出し可能です。これで必要な500万円のうち400万円を確保できます。
  2. 不足分の 100万円を積立NISA口座(非課税期間終了後)または課税口座から売却:
    • 積立NISA口座(移管後)から売却する場合: 評価額200万円の資産のうち100万円分を売却します。もし移管後運用益が10万円であれば、単純計算で売却益は約5万円となり、これに対して税金(約1万円)がかかります。
    • 課税口座から売却する場合: 評価額300万円の資産のうち100万円分を売却します。もし全体の含み益が80万円であれば、単純計算で売却益は約26.7万円となり、これに対して税金(約5.4万円)がかかります。
    • この例では、積立NISA口座(移管後)からの売却の方が税負担は小さい可能性が高いです。

ただし、上記の計算は単純化したものであり、実際には個別の資産の取得価額や移管時の価額、その後の値動きによって税額は大きく異なります。また、課税口座内で含み損がある場合は、その損益通算効果も考慮する必要があります。

実践へのアドバイス

まとめ

教育資金のピーク期に向けた資産活用は、積立NISAと課税口座の税制上の特性を理解し、税効率を意識した売却順序を計画することが重要です。非課税である積立NISA口座(非課税期間内)の資産からの引き出しを優先しつつ、課税口座からの売却時には含み益の状況や損益通算の可能性を考慮することで、手取り額を最大化し、教育資金をより効率的に確保することが可能になります。計画的な準備と柔軟な対応が、目標達成に向けた鍵となります。