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先輩パパママの複合資産戦略:積立NISAと併用する教育資金計画事例

Tags: 教育資金, 積立NISA, 資産運用, ポートフォリオ, 特定口座, ジュニアNISA, 複合資産戦略

教育資金準備における複合的な資産形成戦略の重要性

お子様の教育資金準備は、多くのご家庭にとって重要な課題の一つです。積立NISAは、長期的な資産形成において非課税メリットを享受できる有効な手段として広く認識されています。しかし、必要となる教育資金の総額や、必要になる時期、そしてご家庭の経済状況はそれぞれ異なります。場合によっては、積立NISAの非課税枠だけでは目標額に届かない可能性や、より効率的・柔軟な資金準備を目指す必要が生じることも考えられます。

このような背景から、積立NISAを核としつつも、他の資産や制度を組み合わせる複合的な資産形成戦略が、教育資金準備において有効な選択肢となり得ます。この記事では、教育資金準備に取り組む先輩パパママが実践している、積立NISAと他の資産を組み合わせた具体的な計画事例をご紹介し、その戦略のポイントや注意点について考察します。

積立NISAだけではカバーしきれない可能性

積立NISAは年間非課税投資枠が設定されており、非課税保有期間も定められています。一人のお子様の教育にかかる費用は、進路(国公立か私立か、自宅通学か一人暮らしかなど)によって大きく異なりますが、一般的に数百万円から数千万円に及ぶ可能性があります。特に複数のお子様がいらっしゃる場合や、早期から高額な教育費が必要となる進路を想定している場合、積立NISAの枠内だけで必要な資金すべてを賄うことは難しいケースも考えられます。

また、教育資金が必要となる時期(例:大学入学時)までに積立NISAの非課税期間が終了する場合や、教育費の支払いが分割で発生する場合など、資金使途と積立NISAの制度上の制約を考慮する必要があります。

先輩パパママの複合資産戦略事例:Aさんご一家の場合

ここでは、教育資金準備のために積立NISAと他の資産を組み合わせて運用している、架空のAさんご一家の事例をご紹介します。

【Aさんご一家のプロフィール(架空)】 * 世帯主: 45歳、会社員(管理職) * 配偶者: 43歳、会社員 * お子様: 長女 12歳(中学入学前)、長男 9歳(小学校高学年) * 世帯収入: 約1,200万円(共働き) * 目標教育資金: 長女・長男それぞれ大学入学までに最低1,000万円(合計2,000万円) * 資産状況: 預貯金 約500万円、積立NISA運用中、特定口座運用中

【Aさんご一家の教育資金計画】

Aさんご一家は、お子様二人の大学進学費用を中心に、合計2,000万円を目標に教育資金を準備しています。積立NISAだけでなく、以下の資産・制度を組み合わせて活用しています。

  1. 積立NISA:

    • 目的:主に大学資金の基礎となる長期的な資産形成。非課税メリットを最大限に活用。
    • 運用状況:夫婦それぞれで年間40万円を満額積み立て(年間合計80万円)。主に全世界株式インデックスファンドで運用。長女が大学入学する約6年後、長男が大学入学する約9年後に必要となる資金の一部として計画。
    • ポートフォリオ:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を100%。リスクを抑えつつ、世界経済の成長を取り込む方針。
    • リバランス:原則として行わず、積立を継続。必要に応じて特定口座とのバランスで調整。
  2. ジュニアNISA(現在新規積立は終了):

    • 目的:お子様名義での非課税投資。18歳まで払い出し制限があるが、教育資金として使う想定。
    • 運用状況:制度終了までお子様一人あたり年間80万円を積み立て。現在は運用のみ継続。
    • ポートフォリオ:積立NISAと同様、全世界株式インデックスファンド中心。
    • リバランス:行わず、運用を継続。
  3. 特定口座:

    • 目的:積立NISA枠を超えた追加的な資金形成、および積立NISAよりも柔軟な資金管理。
    • 運用状況:毎月一定額を投資信託に積み立て。まとまった資金がある時にはETFや個別株投資も検討。
    • ポートフォリオ:積立NISAとは異なるアセットクラス(例:先進国債券ETF、国内高配当株ETFの一部)も組み合わせ、全体的なリスク分散を図る。例えば、全世界株式50%、先進国債券30%、国内高配当株20%のようなイメージ。教育資金が必要になる時期が近づいたら、リスクを抑えるために債券や現金比率を高めることを検討。
    • リバランス:年1回程度、資産クラスの割合が計画から大きく乖離していないか確認し、必要に応じて調整。
  4. 預貯金:

    • 目的:教育資金の中でも、近い将来(数年以内)に必要になる可能性のある資金、および急な支出に備える資金。
    • 運用状況:流動性を重視し、一部を高金利のネット銀行へ預け入れ。
    • 配分:当面の教育費(塾代、習い事など)、および大学入学金の初年度納付金の一部など、確実性の高い資金を確保。

【Aさんご一家の計画のポイント】

複合資産戦略を検討する上での視点

Aさんご一家の事例はあくまで一例ですが、複合的な資産形成戦略を検討する上で参考になる点は多いでしょう。ご自身の教育資金計画に活かすためには、以下の点を考慮することが重要です。

  1. 目標設定の具体化: お子様一人あたりに必要な総額、資金が必要になる具体的な時期を可能な限り詳細に見積もります。これにより、積立NISAだけで不足する額や、他の手段で補うべき金額が見えてきます。
  2. 利用可能な資産・制度の洗い出し: 積立NISA以外に、ジュニアNISA(運用のみ)、特定口座、iDeCo(老後資金優先だが、全体戦略として考慮)、学資保険、終身保険(貯蓄型)、不動産など、ご家庭が保有または利用可能な資産や制度をリストアップします。
  3. 各資産・制度の特性理解: 非課税枠、運用期間、払い出しの自由度、リスクレベル、税金のかかり方などを正確に理解します。
  4. 全体ポートフォリオの設計: 教育資金準備に充てる資産全体で、どのような資産配分(アセットアロケーション)にするかを検討します。これにより、個別資産のリスクだけでなく、ポートフォリオ全体のリスクとリターンを管理できます。積立NISAやジュニアNISAで積極的な運用を行い、特定口座や預貯金でリスクを調整するなど、バランスを考慮します。
  5. 定期的な見直し: ご自身のキャリア、お子様の進路希望、経済状況、金融市場の状況は常に変化します。年に一度など、定期的に計画全体を見直し、必要に応じて資産配分の調整(リバランス)や積立額の変更などを行います。

まとめ

積立NISAは教育資金準備の強力な柱となり得ますが、それだけで全てのニーズを満たすとは限りません。教育資金の目標額や必要時期、そしてご家庭のリスク許容度に合わせて、積立NISAと他の資産(特定口座での投資信託やETF、預貯金など)を組み合わせる複合的な資産形成戦略は、より効率的で柔軟な資金準備を実現する有効な手段です。

他のご家庭の事例を参考にしつつ、ご自身の状況に合わせた最適な資産配分と運用計画を設計し、定期的に見直していくことが、教育資金準備を成功させる鍵となります。正確な情報に基づき、計画的な資産形成を進めていただければ幸いです。